あの月に向かって打て



なんでもアリではありません

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私が始めてUFCを知ったのは、ある日、本屋で格闘技系の本を立ち読みした時であっ
た。1993年アメリカ コロラド州デンバーで第1回UFCが開催された。私が知ったのは
第2回大会だったと思う。なんせ、急所攻撃アリとの見出しがあり、どんな格闘技か
気になったものだ。

世の中にたくさんある格闘技でどれが一番強いのだろう。空手? 柔道? ボクシン
グ? それに答えを出そうとしたのがUFCだ。オクタゴンと呼ばれる8角形の金網に囲
まれた、独特な雰囲気を醸し出すリングでそれは行われる。当時はトーナメントを1
日で消化したので、いかに効率よく勝ち上がっていくかがポイントとなった。1回戦
で強敵を破ってもダメージを引きずったままで2回戦に挑めば当然敗れてしまう。そ
んな緊張感があった。

先ほども述べたように私は雑誌でその存在を知り、そしてビデオを見た。ものすごい
緊張感だった。出場する選手のそれぞれが背負っている武道の誇りを賭けて、リング
に上がってくる。それぞれの選手がそれぞれのいでたち(空手着・胴衣・ボクシング
パンツ・マーシャルアーツなど)をして登場する。これこそ異種格闘技戦である。私
は身震いがした。道場破りを公衆の面前でやってしまうのだ。本当に一番強いのは一
体誰なのか…

私は当然打撃系が勝つであろうと思っていたので、優勝したのが柔術のホイス=グレイ
シーというのはにわかには信じられなかった。戦い方は以下の通りである。

蹴りで牽制する→相手を捕まえる→引きずり倒す→関節技で極める

要するに、「捕まえてしまえば、打撃もあたらないでしょう」の理論である。

この戦い方がどこまで続くのか。結局最後まで勝ち進み優勝してしまった。しかもほ
とんど無傷で。

これは私の中で一種の革命だった。当然パンチなりキックなりを当てた者が勝つと
思っていたのが、関節技でギブアップを奪って勝っているのだ。美しささえも感じ
た。

これはまだ、世の中のほとんどの人がUFCを知らない頃だろう。バーリトゥード。ポ
ルトガル語で「なんでもアリ」を指す。これが世に広まる前だった。

今、UFCは50回を越えるまでに至ってしまった。当初、「なんでもアリ」だったUFCも
今となっては「なんでもアリではありません」になってしまっている。金的はもちろ
んダメ。髪の毛を引っ張るのもダメ。ヒジ打ちにも制限がある。結構規制がかかって
いる。あのUFCが始まった頃の独特の緊張感、恐怖感、疾走感が今はない。出場者数
も飛躍的に増え、体重別になっている。当時はそんなものは無かった。後は戦術。こ
れは色々なものが淘汰されて良くなってきているのは分かる。しかし、かつての異種
格闘技戦全開だった頃に比べ、今はバーリトゥードの戦い方が確立されてしまった。
昔の「スタイルとスタイルの戦い」ではなく、「いかに上手いバーリトゥードの戦い
方をするか」が勝負の決め手になっている。もちろん、選手のスタイルはあるのだろ
うが、当初のUFCに比べると皆がほとんど同じに見える。それは結局バーリトゥード
の戦い方を熟知しているからだ。日本ではPrideが人気だが、やはり独特の緊張感は
ない。目新しさを感じない。「なんでもアリ風」の戦い方をしてるだけに見える。

障壁はあると思う。本当の「なんでもアリ」にしてしまうと、健康上の問題が生ず
る。また、残酷に見えるのでTVでの放送枠も限られてくる。女性のファンがつかな
い。様々な問題が出てくるのであろう。しかし、私は格闘技は「怖いもの」であるべ
きだと思うし、その「怖いもの」見たさが良いのではないかとも思う。その見てはい
けないようなものを除きに行く。それがよいのではないだろうか。
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by mau46 | 2005-10-13 22:25 | スポーツ
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