あの月に向かって打て



ベルカンプに花束を

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ついにスパイクを置く時が来た。
現在、私の最も尊敬する現役サッカー選手が身を引く時が来たのだ。

彼の為に私はアーセナルのファンになり、彼を観にロンドンまで足を運んだ。
全ては彼のためである。

彼は常に“美”を意識した。

それは決してスタンドプレーではなく、自分への確固たる美意識に忠実だったためである。その一つひとつのプレーが観衆を惹き付け、ロンドンを熱狂の渦に巻き込んでいった。

ここまで書けば彼は順風満帆な成功者と捉えられがちだが、実は違う。

私が彼を実際に見たのは、現在のアーセナルに所属する前のイタリア、セリエAのインテルに入団した時だった。

彼は母国オランダのアヤックスから鳴り物入りでインテルに入団した。ヨンクという選手と一緒に入団した。私はもちろん彼の存在を意識していたし、彼の活躍を決め付けていた。

当時から私の家ではWOWOWが観れたので、ベルカンプを観ることが出来たのだが、期待は見事に裏切られた。彼はイタリアで全く機能せず失意のままロンドンへ渡ることとなる。ここで彼は大きな挫折を味わっていた。

クライフは言う。
「才能ある若手にこそ挫折を経験させなければならない。挫折はその選手を成長させる最大の良薬だからである。」

彼はその後ロンドンで爆発することになる。

彼の特徴は、“時間と空間を止める事ができる能力”である。
ボールは生きている。その慣性を彼は止めることができるのだ。どんな凶暴な弾道を描いたボールでも、彼の前ではおとなしい猫になってしまい、彼の足元に収まっている。もしくは彼の意のままにコントロールされている。
その姿に観客は呼吸を忘れる。時には対戦相手も見とれていたのではないか。

その才能を惜しみなく発揮し、飛べない白鳥はその美しい姿を我々の脳裏に強烈に焼き付けたまま去っていく。

デニス=ベルカンプ、いつかどこかの街で出会ったら一緒に蹴ってみたいものだ。
そして私は言うのだ。

「あんたを観るために、わざわざ遠い日本から行ったんだぜ、デニス」


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by mau46 | 2006-07-24 23:12 | スポーツ
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