あの月に向かって打て



カテゴリ:スポーツ( 78 )


火事場泥棒はだあれ?

先日、イタリアのプロサッカーリーグ、セリエAの騒動を書いた。
しかし、本来書きたかったのは今回のコラムである。

ユベントスを筆頭に、セリエAで有力なチームが厳罰を受けて降格する事態となった今、それに群がるハゲタカがうろちょろし始めている。

選手にとれば「渡りに船」、チームにとれば「泣きっ面に蜂」と言ったところか。

例えば昨シーズン優勝したユベントスには各国の代表選手が多く所属する。また、ワールドカップで優勝したイタリア代表の選手も多く抱えるチームである。そんなチームを各国のクラブチームが狙わないわけはない。

ここにチームがある。かつて『ギャラクティカ(銀河系軍団←なんで日本語に訳すとこんなにカッコ悪いんだ??)』と呼ばれたレアル・マドリーである。マドリーの前会長ペレス氏は、「1年に一人、スーパースターを連れてくる」と公言し、現に有名選手を獲得してきた。そしていつの日かマドリーは、『ギャラクティカ』を呼ばれるようになった。なんと節操の無い事か・・・マドリーは、不要といわれたベッカムを獲得した事により選手の反発を生み、マドリーの有力選手が退団するという問題も起きた。その有力な選手がスペイン代表DFのイエロであり、ワールドカップで鉄壁の守備を見せたフランス代表マケレレである。マドリーは、守備の補強もそこそこに攻撃陣にスーパースターと呼ばれる選手を獲得していった。

まるで日本のどこかのアホチームと同じである。そのアホチームは愚かなオーナーと愚かな過去のスーパースターの血迷った行動によりチームを破綻させ、現在もその事にも気づかずに愚行を重ねているが、レアル・マドリーはある程度賢いチームである。使えないオーウェンはすぐに放出し、なんとかチームのバランスを保とうとしている。しかし、過去の清算は終わらない。絶対的な守備陣がいない。

そこで目を付けたのが今回のイタリア騒動である。マドリーはまず、監督にユベントスのカペッロを迎えた。そして次の手は・・・ 頭を挿げ替えた後は、首から下と言った感じであろうか。ここぞとばかりに積年のマドリーの弱点を補ってしまおうという考えである。しかも、今までの節操無き獲得と違うのは、監督がユベントスのカペッロだということである。彼がチームバランスを考えて補強を行う。

ユベントスは裸にされている。まるで鳥葬にかけられたかのように、身体の血・肉をむしり取られている。ヨーロッパの強豪はこの弱ったチームの全てを吸い取るのだ。吸血鬼のように。
ユベントスは火の車。選手を繋ぎ止めたくても繋ぎ止める材料がない。ユベントスの本丸は大火事になっている。火事になって逃げ出した選手に対して笑顔で話しかける輩がいる。

さて、ここで問題です。

「火事場泥棒はだあれ??」
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by mau46 | 2006-07-19 14:23 | スポーツ

よい子のセリエA騒動解説入門

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完璧な強さでワールドカップを勝ち取ったイタリアは揺れている。
そうだ、例の「八百長疑惑」である。
ニュースを見てもわけがわからなかった人も多いと思いますのでその解説を・・・
大体下記を読んでもらえればセリエBへの転落がいかにタイヘンかが理解していただけると思う。

イタリアにはプロサッカーリーグ、『セリエA』がある。
そこの主力チームが八百長に関与したと言うことである。

処分されたのは以下のチーム。

・ACミラン(セリエA優勝:17回) セリエA残留も勝ち点-15点からスタート
・ユベントス(セリエA優勝:27回) セリエB転落さらに勝ち点-30点からスタート
・ラツィオ(セリエA優勝:2回) セリエB転落さらに勝ち点-7点からスタート
・フィオレンティーナ(セリエA優勝:2回) セリエB転落さらに勝ち点-12点からスタート

ご覧いただいてわかるように、そうそうたる面々である。
セリエAとはイタリアにある数あるプロサッカーチームの最高峰で行われるリーグである。
要するにトップチームがその一つレベルの低いリーグに転落したのである。

今回のワールドカップでは転落するユベントス所属の選手の活躍が素晴らしかった。
その選手がこぞって退団する恐れがある。

おそらくサッカーに詳しくない方はなぜ彼らが退団するのかわからないであろう。
その理由は様々だが大きく言えば・・・

○ 自分の知らないところでチームが八百長に関与していたことから来るチームへの不信感
○ トップリーグで自分が活躍できないことで、露出が減るため
○ トップリーグでプレーする事によるハイレベルなモティベーションの維持が不可能になる
○ チーム財力への不安
○ 汚名チームへ所属することにプライドが許さない

おそらくこういった理由が挙げられると思われる。
チームとしても痛手だ。チーム収入が格段に減ってしまう。
なぜか・・・

○ セリエAとBとでは放送権料が格段に安くなってしまう。
○ セリエB所属だとヨーロッパのカップ戦に出場できないので、試合数が減り収入が減る。
○ セリエBということで客足が途絶える可能性がある。

とにかく悪いことずくめである。さらに主犯格のユベントスへはセリエB転落の上に勝ち点-30点である。
ご存知のようにサッカーの勝ち点は、

勝ち   3点
負け   0点
引き分け 1点

となっている。つまり、ユベントスはセリエBが開幕して10連勝してやっとスタートになるのである。
これは厳しい。

しかも主力選手の大量放出となれば、その勝ち点も安定して獲得できるか困難を極める。
ACミランはセリエAに残留したものの、勝ち点-15点スタートなので、5連勝してやっと開幕なのである。
まず優勝は遥か彼方の話であろう。

はっきり言って、八百長の内容はわからない。おそらくマフィア絡みの話になるであろうから、ちょっとやそっとでは解明されない問題に発展すると思われる。

これによって選手の“ココロイキ”が試されるところだが、さてどうなるか・・・

かつてフィオレンティーナはセリエBに転落した、その時主力選手だったバティストゥータは「Bに転落してもチームとファンを見捨てられない」と残留を表明し、見事翌年にAへの復帰を成功させている。バティストゥータ・・・聞き覚えのある方も多いかもしれない。彼は'98フランスワールドカップでアルゼンチンとして日本代表から1点をもぎ取った選手である。彼の“ココロイキ"に胸を熱くしたファンも多いのではないか。私もその一人だった。
しかし、今回は勝手が違う。選手の知らないところで不正が働いていた可能性も高い。もちろん不正に関与した選手もいるであろうが・・・
残留する“ココロイキ”か、“ココロイキ”をチームによって削がれてしまったのか・・・

これからの選手の移籍市場は大注目である。
これに関しては、別のコラムで書きたいと思う。
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by mau46 | 2006-07-18 13:39 | スポーツ

トラッシュトークと赤ワイン

e0090292_1153249.jpgジダンが退場となり騒然としたワールドカップ決勝。
私としてはさほど問題視していない。
なぜ問題になっているのかもわからない。

ただ、ジダンを退場に追いやったイタリアのマテラッツィが上手いだけ。
スポーツをやったことある人はわかると思うが、ゲーム中のトラッシュトークは日常茶飯事である。
トラッシュトークとは、

「トラッシュとはごみ箱のこと。選手がゲーム中に相手に向かって刺激的な言葉をかけ、神経を逆なでにして通常にプレイをできなくする。」

のように一種の駆け引きなのだ。これにジダンはまんまと乗せられた。

世の中が騒いでいるのは、

“その試合がジダンの引退試合だったこと。”
“権威あるワールドカップの決勝戦であったこと。”

それに限るだろう。さらに悪かったのは、今回のワールドカップは試合開始前に『人種差別撤廃』の宣誓をしている。
つまりマテラッツィのトラッシュトークはこれに引っかかったのだ。

よく「スポーツは正々堂々と戦わねばならない」と言っている人がいる。
それはもちろんそうだ。

しかしそれは試合開始前から実力差のある相手を対峙した場合、「早々から諦めろ」もしくは「潔く散れ」と言っているようなもの。
スポーツはそんなキレイ事か?潔い、潔癖なプレーをして勝てるのは、自分が相当な差で勝っている場合だ。

どうやらスポーツを美しい崇高なものと勘違いしている人が多すぎるようだ。そんな人はプロレスを見ておけばよい。

自分より相当な実力差があったり、ワールドカップのような非常に高いレベルで拮抗している場合、少しでも相手に対して有利に立ちたいがために少々荒っぽい事をしてしまうのは当然の事。どんな手を使っても勝たなければならない時があるのだ。ワールドカップは個人のプライドで戦っているわけではない。彼らは国を背負っている。

確かにマテラッツィの発言は人種差別に値する表現、また家族を侮辱する発言だったのであろう。
しかし、それはあくまでもピッチの中での話。ピッチを出ればご破算にしなければいけない。

ジダンは世論を味方につけた。黙っていても周りは彼を悲劇のヒーローにしてくれる。しかし私はそうは思わない。

はっきり言おう。あの試合においてはマテラッツィの戦術にはまったジダンが愚かなのだ。
もしマテラッツィを悪く思う人がいれば考え直して欲しい。

「あなたが実力者と対峙した時、どんな手を使ってでも阻止しようとしませんか?」

ジダンにとっては終わった話。マテラッツィにとっても終わった話。
トラッシュトークは試合後の極上のロマネ・コンティで洗い流されるべきなのだ。

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最後に私のもっとも尊敬するクライフの言葉を紹介する。
彼の言葉がすべてを凝縮してくれている。スポーツマンのバイブルにしてもよいくらいである。


「勝つときは少々汚くてもいい。だが、負けるときは美しく」

「1-0で守り切って勝つより、4-5で攻め切って負ける方が良い」

「いくら技術に優れ、スーパースターでも…、その上には、勝者が、チャンピオンがいる…」
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by mau46 | 2006-07-14 11:10 | スポーツ

ワールドカップ決勝 7月10日

○ フランスVSイタリア (1-1 PK3-5)

ジダンは退場して自らの最後を飾った。
おそらく世界中のメディアが彼のとった行動を批判しているであろうから、私は敢えて避ける。
ただ一言、これで誰の記憶にも残る選手になったと言うことだ。良いにしろ悪いにしろ。

さて、フランスのドメネク監督は「ジダンが退場してゲームが終わった」と言ったが、私の感想とは違う。

後半11分、フランスのビエラが退場した。
私はこの瞬間にフランスの優勝は限りなく遠いものになったと悟った。

ビエラはフランスの中盤の底を担う選手で、同じポジションのマケレレと抜群の働きをした。
いわゆるボランチというポジションである。

彼らの仕事はディフェンスの際の最初の砦である。相手の攻撃の第一波を食い止めるのである。
彼らが相手の攻撃の時間を少しでも遅らせる事ができれば、味方はその分自陣に戻ることができる。
ディフェンスの成功の確率は、彼らが相手を食い止めた時間に比例する。
今大会のこの二人は、おそらくボランチのポジションとしてもっとも機能していたのではないか。

さらにビエラは攻撃には一気に転じる事ができる。
その機敏な動きはベスト16の無敵艦隊スペインをことごとく撃沈させた。
そのビエラが筋肉系のケガで負傷交代した。

その時点でフランスの勝利はパスタの国へ向かった走り出したような気がする。

フランスはよく攻めたのだが、いまいちアクセントが無い。

さらにイタリアには私が今大会のMVPと思う、ファビオ=カンナバーロがいた。
彼は身長は175cm程度なのだが、ジャンプ力、フィジカル、そして直観力と群を抜いている。
身長だけで言えば日本の宮本と同じである。
ファビオがフランスの攻撃を完全に沈黙させた。

私は今大会でファビオの集中力が切れたのを一瞬でも見たことが無い。
どんなシチュエーションでもその繊細すぎる緊張の糸をずっと張っていた。
イタリアの優勝の原動力は彼ではないか。

あと敢えて挙げるのであれば、キーパーのブッフォンであろうか。
ブッフォンの集中力もすさまじいものがあった。

結局はPK戦でフランスは散るのだが、イタリアの優勝は妥当なものであろう。
それほど磐石なものであった。

おめでとう、遥か太陽と芸術の国。ワインもさぞ美味しいことだろう。
向こう2年間は君たちがチャンピオンだ。

しかし2年後のユーロでは、オレンジがその首をいただきに上がるのだ。
そのシナリオは出来上がっているのだよ・・・

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画像:イタリア優勝に喜ぶ、イタリア代表のカニベース
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by mau46 | 2006-07-10 13:35 | スポーツ

3位決定戦 7月8日

○ ドイツVSポルトガル (3-1)

この大会で目立ったものがある。それは、

「無回転シュート」

これは蹴られたボールが無回転な為に空気抵抗をまともに受け、不規則な運動を繰り返しながら飛んでいくものである。
球が途中で揺れたり、沈んだり、時には左右にぶれたりする。

日本も2点目の失点、世界一の“無回転シュート”キッカーであるジュニーニョ=フェルナンブカーノによって、川口が止められなかったのには、皆さんもご記憶にあるかも知れない。

ただしこのシュートは簡単に打てるものではない。
かなりのテクニックが必要である。

ではこのシュートによる最大の受難者は誰か。
それはゴールキーパーである。

この“無回転シュート”は不規則な運動を繰り返しながら飛んでくるわけで、もちろんキャッチは難しい。

今日の勝利の分岐となるべきポイント。
それはゴールキーパーのモティベーションだ。
その悪魔のシュートを止めるには、より高い集中力が必要となる。

ポルトガルのキーパーはリカルド。彼は数々のシュートを止めてきた。また、PK戦でも全てのシュートに反応した。それは並みのキーパーではできないことであった。準決勝のイタリア戦までは・・・

ドイツのキーパーはカーン。今大会のドイツはレーマンが守ってきた。カーンは'02ワールドカップでの最優秀キーパーである。ずっとカーンはドイツのゴールを守ってきた誇りがある。しかし彼は今シーズンの不振からドイツの正キーパーの座をレーマンに譲った。ところがカーンはそれに腐ることをせず、チームをレーマンを鼓舞し続けた。その姿は観衆の胸を熱く打った。カーンはこの3位決定戦のスターティングメンバーに選ばれた。レーマンの強いプッシュもあった。ドイツ国民全てがカーンの背中を押した。37歳。おそらく最後のワールドカップであろう。彼は国民全ての声援を背にしてピッチに立つ。

ドイツの先制点。若きホープ、シュバインシュタイガーが放ったシュートは無回転。
その気まぐれなシュートはリカルドの腕をすり抜けるようにゴールに突き刺さった。
一方、ポルトガルが手にしたフリーキックのチャンス。クリスティアーノ=ロナウドが放った“無回転シュート”はカーンが止めた。左右にふれるシュートを、カーンは逆を突かれながら止めた。それは魂のセーブだった。

ドイツは3位になった。

ドイツはポルトガルに対しカードを1枚だけ多く持っていたのだ。
しかも、オリバー=カーンというとっておきのカードを。
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by mau46 | 2006-07-09 20:02 | スポーツ

トーナメント準決勝 7月5日

○ フランスVSポルトガル (1-0)


大人と子供のサッカー。そういった印象を受けた。

もちろん互いに非常にレベルの高いサッカーを展開したわけだが、
ポルトガルの挑発や欺きに、大人のフランスが乗らなかった。

むしろポルトガルにサッカーレッスンをつけているような感じまでした。
つまりそれはポルトガルのシミュレーション(あたかもファウルを受けたかの様に転倒すること)に対しては、

「そんなことしちゃダメなんだよ」

とやんちゃなポルトガルの頭を撫でながら、たしなめていた。それは決して叱りつけるわけではなく、どこか優しさに満ちていた。
その証拠にフランスのファウルは極端に少ない。ポルトガルと対戦してきたどのチームよりも少ないのではないか。

私はフランスの勝利の要因はそこにあると見た。

つまりポルトガルのサッカーに付き合わず、徹底して自分たちの大人のサッカーを貫き通した。
それがフランスの今日見せた強さであろう。そのサッカーは今日・明日に完成されるものではない。
'98ワールドカップ優勝、ユーロ2000優勝、そして'02ワールドカップのグループリーグ敗退。
彼らにはそんな歴史が積み重なっている。若いチームの挑発にはビクともしない、確固たるサッカーのロジックが成り立っているのである。

そんな中、大人に抗い続ける選手がいた。
クリスティアーノ=ロナウドである。

彼は何度壁に跳ね返されても向かっていった。自分のケガも省みず飛び込んだ。
その度、彼はフランスの壁の高さを知る。

今までの対戦相手ではうまくいった、ずるいプレーもフランスには通じない。
フランスサポーターもサッカーを知っている。
クリスティアーノがボールを持つだけで強烈なブーイング。チームを徹底して助けた。

圧巻はこの試合唯一の得点。アンリが受けたPKだ。

今までのポルトガルのお株を奪う「倒れっぷり」。
そして得たPKを外すジダンではない。

フランスはポルトガルの子ども扱いし、さらにポルトガルの得意技を使って勝った。

ジダンはついに自分の芸術を完成させようとしている。
下地は既に出来上がった。あとはどんなデコレーションで、自分を美しく飾れるかだ。

ジダンに捧げる。

「あとにはまっ白な灰だけが残る…燃えかすなんか残りやしない…。まっ白な灰だけだ。」
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by mau46 | 2006-07-06 13:07 | スポーツ

トーナメント準決勝 7月4日

○ イタリアVSドイツ (2-0)


延長戦にまでもつれ込んだ一進一退の打ち合いは、「PK戦」という言葉が頭に浮かんだドイツに残酷な結果となった。
それまではピンピンに張られていた緊張の糸が、延長後半終了間際に一瞬緩んでしまったように見えた。
いや、「勝ちたい」と言うイタリアの精神的なターボに火がついたのか、彼らは一瞬たりとも「PK戦」は考えなかったのであろうか。
いずれにしても、その瞬間にイタリアがドイツの全てを否定する1点を決める。

私には前者の、「PK戦」と言う言葉がドイツの頭をよぎったというのが正しい様な気がする。
ドイツには圧倒的なホームアドバンテージがある。その中でPK戦になった場合、ドイツが勝つ可能性は高いであろう。
それにドイツは準々決勝のアルゼンチン戦でもPK戦で勝ってきている。
その甘い思い出が彼らの脳を揺らしたのではないか。

しかし、それがドイツによぎったのは、ほんの数秒。もしくはコンマ数秒であったろう。
そこをイタリアのピルロが、コンマ何秒の隙間にパスを通したのだ。
まるで走っている電車の連結部分にボールを通すように。

まさに、
「ここしかない!」
というチャンスだったのであろう。

残りの1点は完全におまけである。

攻めることしか選択肢が無くなったドイツに対して、イタリアは冷静にとどめを刺すだけでよかったのである。


今日のドラマはわずか1分ほどのショートショートだ。
そのハイライトはわずかコンマ数秒に集約される。


気まぐれな勝利の女神はずっと自分を見つめてくれる、
そんなマメ男のイタリアが好きだったようだ。
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by mau46 | 2006-07-05 12:54 | スポーツ

中田の鳴らした鳴らないベル

晴天の霹靂か、はたまた来るべき日が来たと言うのか。
中田英寿はスパイクを置くことを決意した。

彼の伝えたかったこと。
彼のしたかったこと。

その歯車がうまく噛み合わないジレンマが、彼に「引退」の二文字を思い起こさせたのか。

“客観的に見なければ、自分がどの位置にいるのかわからない。”

それが今回の日本代表に言えた事であろう。

中田は外から日本を見ている。このままでは日本のサッカーは良くならない。
「日本国内にいる選手達は、内側ばかりを見て外を見ていない。」
「現状の自分のレベルに甘んじている。」
そういったメッセージが無かったであろうか。

日本は悲しいかな島国である。
私は運良く海外に行く機会が多く、その考えや文化に影響される事も多い。
しかし、それを日本の中で伝えようとすると必ず変な目で見られる。
基本的にはこうだ。
「アメリカかぶれが」
「ちょっと海外に行ったからって、カッコつけやがって」
これが日本の本質なのである。普段ハンバーガーやコーラを食べているヤツらに言われるのである。

日本という国は朱に交わって赤くならなければならない民族である。
その朱の中で青い存在は疎まれ、打たれ、そして赤に粛清されてしまうのである。

中田は外で厳しさを学んだ。そう、常にハングリーであった。
日本にいれば、確実にスタメンのエースとして扱われていたであろう彼が、
どんなにあがいても超えられない壁にいつもぶつかってきた。
ひょっとすると、日本人ということでサッカー的な偏見も受けたであろう。
ジャパンマネー目当ての中田取得と言うものあったであろう。

そんな中で中田ができることは、“実力でみんなを納得させる”これしかなかったのである。

しかしその中田の積み上げてきたデリケートな積み木を、
他の代表選手はただの中田の美しいサクセスストーリーとしてしか見ていなかったのではないか?

中田は努力の美談を聞かせたいわけでない、おそらくは本当に泥臭い話を教えたかったのであろう。
それは中田が外で孤独の中で、黙々と築き上げた積み木だったのだ。

「中田は外の人、すごい人」
「我々は内の人、中田とは違う人」

そんな目で中田を見ていたのではないか。

日本がブラジルに敗れてしばらく、川渕キャプテンは口を滑らせる。
「オシム・・・」
と。この完全犯罪は誰にも糾弾される事も無いまま闇に葬られてしまうことは間違いない。

中田はそれも見ていたのだろう。
日本サッカーの凄惨たる姿を。

成長をやめてしまっている日本サッカー協会のトップのあの醜態を・・・

中田は常にJリーグを気にして口にしてきた。
ただ単に「お客さんに来てもらいたい」という事を伝えたいわけではなく、
「Jリーグのレベルを上げる」これを意識していたのではないか。

外に出たものだけがわかる本当の実力。
それをいち早く察知した中田が、いつもその鳴らないベルを鳴らし続けていたのではないか。

その意味を理解したJリーガー、サポーターは何人いたのか。

楽しければそれでいい、おもしろければいい。
それでいいのであれば、今回のワールドカップの結果にとやかく言う資格は無い。
Jリーグだけをおとなしく見ておけばよいのだ。

中田は見ているものが違うのだ。
その、鳴らないベルを鳴らし疲れた時、それが今、スパイクを置く日だったのだろう。
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by mau46 | 2006-07-04 13:14 | スポーツ

トーナメント準々決勝 7月1日

○ イングランドVSポルトガル (0-0 PK1-3)


『10人の勇者と1人の愚か者』

’98年ワールドカップ。アルゼンチンと対戦したイングランドはベッカムの退場により敗北する。
それを上記の言葉でイングランドのマスコミは飾った。
今日もそれが当てはまるのではないであろうか。
ルーニーはまだ20歳を過ぎたばかりだ。
以前ほどの情緒不安定は収まったが、まだ精神的な成熟には至っていない。

その悪の虫が今日、この試合に出てしまった。
自分を制御できないルーニーは、あろう事かプロとしてチームメイトのクリスティアーノ=ロナウドを突き飛ばしてしまう。
その後、暴言により一発レッド。

イングランドの劣勢はその時点で決定された。

しかしイングランドの“魂”のディフェンス、リオ=ファーディナンドとジョン=テリーは幾度と無くピンチを救う。

もつれ込んだままのPK戦では、イングランドの主力、ランパードとジェラードが失敗を犯してしまう。
役者最後のシュートを決めたクリスティアーノ=ロナウドだ。冷静にフェイントを交えゴールを決めた。
助演はキーパーのリカルド。イングランドのPK全てに反応していた。

敗北が決定した時、普段、絶対に涙を流すことのないリオとテリーが肩を震わせて涙を流す姿を見て私も涙が止まらなかった。
敗れても“魂”のディフェンダーは輝いていた。

最大の凡戦をリオとテリーが“魂”の防衛戦を演出してくれた。

今日からルーニーは批判に耐える日々が続く。


○ フランスVSブラジル (1-0)

ブラジル退治の専門家ジダンの登場である。
ジダンの動きは、日を追うごとに時間が巻き戻されている。
さらにボールのタッチ一つ一つが芸術の域まで達して、サッカーファンに甘い吐息をつかせる。
ジダンのプレーを一瞬でも見逃すな!

ブラジル代表監督パヘイラは大きな批判を受けることであろう。
何故、頑なにロナウドを使い続けたか。
フランスサイドとしてはロナウドがボールを持てば、ある程度の安心感はあったのではないか。
もちろん危険な選手であることに間違いは無いのだが、ゴールの匂いはまるでしない。

フランスで素晴らしかったのは、ヴィエラとマケレレのボランチコンビである。
ブラジルが攻撃に移る瞬間に彼らの強烈なプレスを受けることとなる。
それによってブラジルの攻撃のテンポをずれ、リズムが狂う。
ロナウジーニョの喘ぎが画面を通じて伝わってくるようだった。

さらに今日のブラジルはセットプレーに集中を欠いていた。
その唯一の失点はジダンのフリーキックから、完全にノーマークとなったアンリのゴール。

攻撃にアクセント無いブラジルがロビーニョを投入したのは残り10分ほど。
その遅すぎる投入にブラジルサポーターは大きな失望を感じたのではないか。

ジダンの炎はまだ燃えている。ジダンの火を消すな!ジダンを燃やし続けよ!

伝説をまだ終わらせてはいけない。
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by mau46 | 2006-07-02 15:16 | スポーツ

トーナメント準々決勝 6月30日

ついに始まったクォーターファイナル。

高校野球でもなんでもクォーターファイナルが一番オモシロイと言う。

ここまできたら楽な戦いは一つとしてない。
観戦するこちら側にも緊張が走る。

○ ドイツVSアルゼンチン (1-1 PK4-2)

相撲には負けずに試合で負ける。ルールがある限り、これは必ずついてまとうものだ。
この試合は数少ない私の好きなアルゼンチン選手、アジャラに注目したい。

「彼にファールした選手は、数分後ピッチに倒れることになる」

アジャラにファールをすると、その選手は知らない間にアジャラによってピッチ上に葬られる。しかも合法的に。
アジャラはカードをもらわない。ルールに乗っ取ってマークを殺すのだ。
例えばドイツのコーナーキックのシーンでアジャラはドイツのエースバラックのマークについた。その執拗なマークにバラックは審判に不満を訴える。さらにアジャラを突き飛ばすように払いのけようとする。
テレビはそこまでだった。しかし、ドイツのコーナーのチャンスが失敗に終わった時、審判の笛が鳴った。バラックのアジャラへのファールをとったのだ。しかしおかしい。倒れているのはバラックである。バラックはアジャラを払い除けようとしているのだが、知らない間にアジャラの腕を顔面に食らっていた。
これがアジャラである。合法的に相手を葬る。誰も知らない間に。

今日、アジャラは1点を挙げた。
しかし、PKで外した。
アジャラに始まりアジャラに終わる。そんな試合だった。

日本代表に必要なものはアジャラのハートだ。

しかしドイツのGKレーマンの冴えはすさまじい。
アルゼンチンのPK全てに反応していた。
一つも逆をつかれなかった。
最高の冴えを見せてくれた。

泣くなカンビアッソ。お前の外したPKは歴史になって、そして誰かがその歴史をまた美しく塗り替えてくれるのだ。
それほどお前のプレーはこの大会輝いていた。

○ イタリアVSウクライナ (3-0)

全ては先取点だった。
ウクライナが取ればゲームは動く。
イタリアが取ればゲームは沈黙する。

しかし先制点はイタリアだった。しかも試合開始6分。
これは相当予想外だった。

先取点を取られたウクライナは攻める。
しかし今日のイタリアのディフェンスはカテナチオ復権を匂わせるものだった。
カテナチオとは閂(かんぬき)の意味で、鍵をかけてしまう事である。つまり1点入れればあとは鍵をかけて誰も入れさせないサッカーをする。
それに今日のイタリアディフェンスは“魂"がプラスされていた。
結局3点を入れられてウクライナは敗れ去るのだが、得点の可能性は見せた。
しかしその夢を乗せたウクライナのヘディングシュートはイタリアキーパーブッフォンのパンチングによって打ち砕かれる。ブッフォンはその飛び込んだ勢いのまま、顔面をゴールポストに直撃させてしまう。ボールがクリアされたのを確認したブッフォンは初めてその激痛に気づいたように倒れこむ。
これが“魂”なのだ。

このレベルまでくれば、プレーに“魂”が乗ったチームが勝ち残る。
ウクライナも“魂”が溢れたが、イタリアの方がほんの少し“魂”が多く乗っていた。

これも勝負である。
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by mau46 | 2006-07-01 21:11 | スポーツ


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