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あの月に向かって打て



トーナメント1回戦 戦評 6月25日

今日ほど戦評を書きづらい日は無い。

○ イングランドVSエクアドル (1-0)

今日はルーニーを1トップの布陣にし、中盤の人数を増やす作戦を取ったイングランド。おそらく中盤のパス回しを多くして攻撃の幅を出そうとしたエリクソン監督の狙いなのだろう。それは効果的な戦術と見た。
かたやエクアドルは勢いがある。しかし正直なところイングランドに対する勝算は少ない。
私のイングランドに対する期待はすぐに裏切られる。
なんとも退屈な試合だ。パス回しも鈍重で、キビキビとした動きも無い。スタジアムが沸いたシーンと言えば、イングランドDFジョン=テリーがボール処理を誤る最大のピンチをアシュリー=コールがすんでのところで救ったシーンだったのは皮肉的だった。
中盤は、エース級であるランパードとジェラードがいるのだが、どうも互いに譲り合っている感じがして噛み合わない。
そして単純に前方へロングボールを放り込む退屈なサッカー。
この試合唯一の得点であるイングランドの1点はベッカムのフリーキックによるもの。これがあるからなまじベッカムを外せない。しかし、もしスペクタクルの溢れるサッカーをエリクソンが目指すならベッカムを下げて、ジェラードでも右サイドに入れてみればいいかもしれない。
それにより、動きのあるサッカーが見れる気がする。
イングランド、おもしろいサッカーを見せてくれ。
あれじゃ心はシェイクされない。

○ オランダVSポルトガル (0-1)

開始早々、ポルトガルのクリスティアーノ=ロナウドが削られる(ファールを受ける)。それが元で交代を余儀なくされた。正直このファールで嫌な予感がしたのは私だけではないであろう。
ゲームは大荒れの様相を呈していた。
結局両チーム通じて2人づつの退場者を出す結果となった。
しかし私が再三言い続けてきた、審判の裁定基準の曖昧さが再び出てしまった。審判がゲームを締めていたなら、これほど荒れはしなかっただろう。オランダ選手の退場も納得のいく裁定ではなかった。それがオランダの敗因とは言わないが、しっかりとした判断基準を持ってもらわなければ、ワールドカップの質の低下になってしまう。
ポルトガルの先制は見事でマニシェの冷静なゴールだった。
その後オランダは一人少ないポルトガルに対して、圧倒的な攻撃を見せるのだが、敗因はその攻撃の仕方にあると思う。
数的有利があるのにも関わらず前方でパス回しが行われない。冷静にパスを回して、ポルトガルのディフェンスに穴が空くのを待てないのだ。そして外側からシュート。こぼれ球を拾われる。そんな単調なサッカーになってしまった。
ポルトガルにとっては多少遠くから打たれる方が、パスを回されるよりよほど楽だったに違いない。その工夫のない攻撃が最大の敗因だった。
また、退場による突発的な選手交代もあったため、効果的な攻撃オプションを投入できなかったのも原因の一つである。

しかし、大荒れに荒れた試合の勝者は無傷では済まされない。
多くの退場者負傷者を出したポルトガルは、次のイングランドとの戦い前から負けているもかもしれない。


とまぁ、自分の心の傷をえぐるような戦評だった。
とは言えオランダはまだ若いチーム。
この敗戦がきっとチームを強くするに違いない。

しかし、オランダに削られたクリスティアーノは次戦の出場が微妙との事。それはたいへん気の毒な話である。
交代してベンチに下がったクリスティアーノの目は赤く染まっていた。
そう言えば彼の目が赤く染まったシーンを別に見たことがある。それはユーロ2004の決勝。
地元開催だったポルトガルの優勝は約束されたようなものだった。意気揚々と決勝戦まで進んだポルトガルを粉砕したのは伏兵ギリシャ。
敗れたポルトガル。そのピッチの中でクリスティアーノは公然と泣いた。泣きじゃくっていた。
その彼の姿を見て私は彼の覚醒を予感した。
それが現実となり、今日も彼はくやしさで目を赤く染めた。
もし次戦に出場できない重荷を彼に課した場合、私は彼の成長に恐怖する。

次はどんな男になって私の前に姿を現してくれるのであろうか。
クリスティアーノはそんな男である。
by mau46 | 2006-06-26 22:44 | スポーツ
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