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あの月に向かって打て



ワールドカップ決勝 7月10日

○ フランスVSイタリア (1-1 PK3-5)

ジダンは退場して自らの最後を飾った。
おそらく世界中のメディアが彼のとった行動を批判しているであろうから、私は敢えて避ける。
ただ一言、これで誰の記憶にも残る選手になったと言うことだ。良いにしろ悪いにしろ。

さて、フランスのドメネク監督は「ジダンが退場してゲームが終わった」と言ったが、私の感想とは違う。

後半11分、フランスのビエラが退場した。
私はこの瞬間にフランスの優勝は限りなく遠いものになったと悟った。

ビエラはフランスの中盤の底を担う選手で、同じポジションのマケレレと抜群の働きをした。
いわゆるボランチというポジションである。

彼らの仕事はディフェンスの際の最初の砦である。相手の攻撃の第一波を食い止めるのである。
彼らが相手の攻撃の時間を少しでも遅らせる事ができれば、味方はその分自陣に戻ることができる。
ディフェンスの成功の確率は、彼らが相手を食い止めた時間に比例する。
今大会のこの二人は、おそらくボランチのポジションとしてもっとも機能していたのではないか。

さらにビエラは攻撃には一気に転じる事ができる。
その機敏な動きはベスト16の無敵艦隊スペインをことごとく撃沈させた。
そのビエラが筋肉系のケガで負傷交代した。

その時点でフランスの勝利はパスタの国へ向かった走り出したような気がする。

フランスはよく攻めたのだが、いまいちアクセントが無い。

さらにイタリアには私が今大会のMVPと思う、ファビオ=カンナバーロがいた。
彼は身長は175cm程度なのだが、ジャンプ力、フィジカル、そして直観力と群を抜いている。
身長だけで言えば日本の宮本と同じである。
ファビオがフランスの攻撃を完全に沈黙させた。

私は今大会でファビオの集中力が切れたのを一瞬でも見たことが無い。
どんなシチュエーションでもその繊細すぎる緊張の糸をずっと張っていた。
イタリアの優勝の原動力は彼ではないか。

あと敢えて挙げるのであれば、キーパーのブッフォンであろうか。
ブッフォンの集中力もすさまじいものがあった。

結局はPK戦でフランスは散るのだが、イタリアの優勝は妥当なものであろう。
それほど磐石なものであった。

おめでとう、遥か太陽と芸術の国。ワインもさぞ美味しいことだろう。
向こう2年間は君たちがチャンピオンだ。

しかし2年後のユーロでは、オレンジがその首をいただきに上がるのだ。
そのシナリオは出来上がっているのだよ・・・

ワールドカップ決勝 7月10日_e0090292_13362495.jpg

画像:イタリア優勝に喜ぶ、イタリア代表のカニベース
by mau46 | 2006-07-10 13:35 | スポーツ
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