完璧な強さでワールドカップを勝ち取ったイタリアは揺れている。
そうだ、例の「八百長疑惑」である。
ニュースを見てもわけがわからなかった人も多いと思いますのでその解説を・・・
大体下記を読んでもらえればセリエBへの転落がいかにタイヘンかが理解していただけると思う。
イタリアにはプロサッカーリーグ、『セリエA』がある。
そこの主力チームが八百長に関与したと言うことである。
処分されたのは以下のチーム。
・ACミラン(セリエA優勝:17回) セリエA残留も勝ち点-15点からスタート
・ユベントス(セリエA優勝:27回) セリエB転落さらに勝ち点-30点からスタート
・ラツィオ(セリエA優勝:2回) セリエB転落さらに勝ち点-7点からスタート
・フィオレンティーナ(セリエA優勝:2回) セリエB転落さらに勝ち点-12点からスタート
ご覧いただいてわかるように、そうそうたる面々である。
セリエAとはイタリアにある数あるプロサッカーチームの最高峰で行われるリーグである。
要するにトップチームがその一つレベルの低いリーグに転落したのである。
今回のワールドカップでは転落するユベントス所属の選手の活躍が素晴らしかった。
その選手がこぞって退団する恐れがある。
おそらくサッカーに詳しくない方はなぜ彼らが退団するのかわからないであろう。
その理由は様々だが大きく言えば・・・
○ 自分の知らないところでチームが八百長に関与していたことから来るチームへの不信感
○ トップリーグで自分が活躍できないことで、露出が減るため
○ トップリーグでプレーする事によるハイレベルなモティベーションの維持が不可能になる
○ チーム財力への不安
○ 汚名チームへ所属することにプライドが許さない
おそらくこういった理由が挙げられると思われる。
チームとしても痛手だ。チーム収入が格段に減ってしまう。
なぜか・・・
○ セリエAとBとでは放送権料が格段に安くなってしまう。
○ セリエB所属だとヨーロッパのカップ戦に出場できないので、試合数が減り収入が減る。
○ セリエBということで客足が途絶える可能性がある。
とにかく悪いことずくめである。さらに主犯格のユベントスへはセリエB転落の上に勝ち点-30点である。
ご存知のようにサッカーの勝ち点は、
勝ち 3点
負け 0点
引き分け 1点
となっている。つまり、ユベントスはセリエBが開幕して10連勝してやっとスタートになるのである。
これは厳しい。
しかも主力選手の大量放出となれば、その勝ち点も安定して獲得できるか困難を極める。
ACミランはセリエAに残留したものの、勝ち点-15点スタートなので、5連勝してやっと開幕なのである。
まず優勝は遥か彼方の話であろう。
はっきり言って、八百長の内容はわからない。おそらくマフィア絡みの話になるであろうから、ちょっとやそっとでは解明されない問題に発展すると思われる。
これによって選手の“ココロイキ”が試されるところだが、さてどうなるか・・・
かつてフィオレンティーナはセリエBに転落した、その時主力選手だったバティストゥータは「Bに転落してもチームとファンを見捨てられない」と残留を表明し、見事翌年にAへの復帰を成功させている。バティストゥータ・・・聞き覚えのある方も多いかもしれない。彼は'98フランスワールドカップでアルゼンチンとして日本代表から1点をもぎ取った選手である。彼の“ココロイキ"に胸を熱くしたファンも多いのではないか。私もその一人だった。
しかし、今回は勝手が違う。選手の知らないところで不正が働いていた可能性も高い。もちろん不正に関与した選手もいるであろうが・・・
残留する“ココロイキ”か、“ココロイキ”をチームによって削がれてしまったのか・・・
これからの選手の移籍市場は大注目である。
これに関しては、別のコラムで書きたいと思う。