人気ブログランキング | 話題のタグを見る

あの月に向かって打て



火事場泥棒はだあれ?

先日、イタリアのプロサッカーリーグ、セリエAの騒動を書いた。
しかし、本来書きたかったのは今回のコラムである。

ユベントスを筆頭に、セリエAで有力なチームが厳罰を受けて降格する事態となった今、それに群がるハゲタカがうろちょろし始めている。

選手にとれば「渡りに船」、チームにとれば「泣きっ面に蜂」と言ったところか。

例えば昨シーズン優勝したユベントスには各国の代表選手が多く所属する。また、ワールドカップで優勝したイタリア代表の選手も多く抱えるチームである。そんなチームを各国のクラブチームが狙わないわけはない。

ここにチームがある。かつて『ギャラクティカ(銀河系軍団←なんで日本語に訳すとこんなにカッコ悪いんだ??)』と呼ばれたレアル・マドリーである。マドリーの前会長ペレス氏は、「1年に一人、スーパースターを連れてくる」と公言し、現に有名選手を獲得してきた。そしていつの日かマドリーは、『ギャラクティカ』を呼ばれるようになった。なんと節操の無い事か・・・マドリーは、不要といわれたベッカムを獲得した事により選手の反発を生み、マドリーの有力選手が退団するという問題も起きた。その有力な選手がスペイン代表DFのイエロであり、ワールドカップで鉄壁の守備を見せたフランス代表マケレレである。マドリーは、守備の補強もそこそこに攻撃陣にスーパースターと呼ばれる選手を獲得していった。

まるで日本のどこかのアホチームと同じである。そのアホチームは愚かなオーナーと愚かな過去のスーパースターの血迷った行動によりチームを破綻させ、現在もその事にも気づかずに愚行を重ねているが、レアル・マドリーはある程度賢いチームである。使えないオーウェンはすぐに放出し、なんとかチームのバランスを保とうとしている。しかし、過去の清算は終わらない。絶対的な守備陣がいない。

そこで目を付けたのが今回のイタリア騒動である。マドリーはまず、監督にユベントスのカペッロを迎えた。そして次の手は・・・ 頭を挿げ替えた後は、首から下と言った感じであろうか。ここぞとばかりに積年のマドリーの弱点を補ってしまおうという考えである。しかも、今までの節操無き獲得と違うのは、監督がユベントスのカペッロだということである。彼がチームバランスを考えて補強を行う。

ユベントスは裸にされている。まるで鳥葬にかけられたかのように、身体の血・肉をむしり取られている。ヨーロッパの強豪はこの弱ったチームの全てを吸い取るのだ。吸血鬼のように。
ユベントスは火の車。選手を繋ぎ止めたくても繋ぎ止める材料がない。ユベントスの本丸は大火事になっている。火事になって逃げ出した選手に対して笑顔で話しかける輩がいる。

さて、ここで問題です。

「火事場泥棒はだあれ??」
火事場泥棒はだあれ?_e0090292_14223844.jpg

# by mau46 | 2006-07-19 14:23 | スポーツ

よい子のセリエA騒動解説入門

よい子のセリエA騒動解説入門_e0090292_13385441.jpg

完璧な強さでワールドカップを勝ち取ったイタリアは揺れている。
そうだ、例の「八百長疑惑」である。
ニュースを見てもわけがわからなかった人も多いと思いますのでその解説を・・・
大体下記を読んでもらえればセリエBへの転落がいかにタイヘンかが理解していただけると思う。

イタリアにはプロサッカーリーグ、『セリエA』がある。
そこの主力チームが八百長に関与したと言うことである。

処分されたのは以下のチーム。

・ACミラン(セリエA優勝:17回) セリエA残留も勝ち点-15点からスタート
・ユベントス(セリエA優勝:27回) セリエB転落さらに勝ち点-30点からスタート
・ラツィオ(セリエA優勝:2回) セリエB転落さらに勝ち点-7点からスタート
・フィオレンティーナ(セリエA優勝:2回) セリエB転落さらに勝ち点-12点からスタート

ご覧いただいてわかるように、そうそうたる面々である。
セリエAとはイタリアにある数あるプロサッカーチームの最高峰で行われるリーグである。
要するにトップチームがその一つレベルの低いリーグに転落したのである。

今回のワールドカップでは転落するユベントス所属の選手の活躍が素晴らしかった。
その選手がこぞって退団する恐れがある。

おそらくサッカーに詳しくない方はなぜ彼らが退団するのかわからないであろう。
その理由は様々だが大きく言えば・・・

○ 自分の知らないところでチームが八百長に関与していたことから来るチームへの不信感
○ トップリーグで自分が活躍できないことで、露出が減るため
○ トップリーグでプレーする事によるハイレベルなモティベーションの維持が不可能になる
○ チーム財力への不安
○ 汚名チームへ所属することにプライドが許さない

おそらくこういった理由が挙げられると思われる。
チームとしても痛手だ。チーム収入が格段に減ってしまう。
なぜか・・・

○ セリエAとBとでは放送権料が格段に安くなってしまう。
○ セリエB所属だとヨーロッパのカップ戦に出場できないので、試合数が減り収入が減る。
○ セリエBということで客足が途絶える可能性がある。

とにかく悪いことずくめである。さらに主犯格のユベントスへはセリエB転落の上に勝ち点-30点である。
ご存知のようにサッカーの勝ち点は、

勝ち   3点
負け   0点
引き分け 1点

となっている。つまり、ユベントスはセリエBが開幕して10連勝してやっとスタートになるのである。
これは厳しい。

しかも主力選手の大量放出となれば、その勝ち点も安定して獲得できるか困難を極める。
ACミランはセリエAに残留したものの、勝ち点-15点スタートなので、5連勝してやっと開幕なのである。
まず優勝は遥か彼方の話であろう。

はっきり言って、八百長の内容はわからない。おそらくマフィア絡みの話になるであろうから、ちょっとやそっとでは解明されない問題に発展すると思われる。

これによって選手の“ココロイキ”が試されるところだが、さてどうなるか・・・

かつてフィオレンティーナはセリエBに転落した、その時主力選手だったバティストゥータは「Bに転落してもチームとファンを見捨てられない」と残留を表明し、見事翌年にAへの復帰を成功させている。バティストゥータ・・・聞き覚えのある方も多いかもしれない。彼は'98フランスワールドカップでアルゼンチンとして日本代表から1点をもぎ取った選手である。彼の“ココロイキ"に胸を熱くしたファンも多いのではないか。私もその一人だった。
しかし、今回は勝手が違う。選手の知らないところで不正が働いていた可能性も高い。もちろん不正に関与した選手もいるであろうが・・・
残留する“ココロイキ”か、“ココロイキ”をチームによって削がれてしまったのか・・・

これからの選手の移籍市場は大注目である。
これに関しては、別のコラムで書きたいと思う。
# by mau46 | 2006-07-18 13:39 | スポーツ

トラッシュトークと赤ワイン

トラッシュトークと赤ワイン_e0090292_1153249.jpgジダンが退場となり騒然としたワールドカップ決勝。
私としてはさほど問題視していない。
なぜ問題になっているのかもわからない。

ただ、ジダンを退場に追いやったイタリアのマテラッツィが上手いだけ。
スポーツをやったことある人はわかると思うが、ゲーム中のトラッシュトークは日常茶飯事である。
トラッシュトークとは、

「トラッシュとはごみ箱のこと。選手がゲーム中に相手に向かって刺激的な言葉をかけ、神経を逆なでにして通常にプレイをできなくする。」

のように一種の駆け引きなのだ。これにジダンはまんまと乗せられた。

世の中が騒いでいるのは、

“その試合がジダンの引退試合だったこと。”
“権威あるワールドカップの決勝戦であったこと。”

それに限るだろう。さらに悪かったのは、今回のワールドカップは試合開始前に『人種差別撤廃』の宣誓をしている。
つまりマテラッツィのトラッシュトークはこれに引っかかったのだ。

よく「スポーツは正々堂々と戦わねばならない」と言っている人がいる。
それはもちろんそうだ。

しかしそれは試合開始前から実力差のある相手を対峙した場合、「早々から諦めろ」もしくは「潔く散れ」と言っているようなもの。
スポーツはそんなキレイ事か?潔い、潔癖なプレーをして勝てるのは、自分が相当な差で勝っている場合だ。

どうやらスポーツを美しい崇高なものと勘違いしている人が多すぎるようだ。そんな人はプロレスを見ておけばよい。

自分より相当な実力差があったり、ワールドカップのような非常に高いレベルで拮抗している場合、少しでも相手に対して有利に立ちたいがために少々荒っぽい事をしてしまうのは当然の事。どんな手を使っても勝たなければならない時があるのだ。ワールドカップは個人のプライドで戦っているわけではない。彼らは国を背負っている。

確かにマテラッツィの発言は人種差別に値する表現、また家族を侮辱する発言だったのであろう。
しかし、それはあくまでもピッチの中での話。ピッチを出ればご破算にしなければいけない。

ジダンは世論を味方につけた。黙っていても周りは彼を悲劇のヒーローにしてくれる。しかし私はそうは思わない。

はっきり言おう。あの試合においてはマテラッツィの戦術にはまったジダンが愚かなのだ。
もしマテラッツィを悪く思う人がいれば考え直して欲しい。

「あなたが実力者と対峙した時、どんな手を使ってでも阻止しようとしませんか?」

ジダンにとっては終わった話。マテラッツィにとっても終わった話。
トラッシュトークは試合後の極上のロマネ・コンティで洗い流されるべきなのだ。

トラッシュトークと赤ワイン_e0090292_1154098.jpg


最後に私のもっとも尊敬するクライフの言葉を紹介する。
彼の言葉がすべてを凝縮してくれている。スポーツマンのバイブルにしてもよいくらいである。


「勝つときは少々汚くてもいい。だが、負けるときは美しく」

「1-0で守り切って勝つより、4-5で攻め切って負ける方が良い」

「いくら技術に優れ、スーパースターでも…、その上には、勝者が、チャンピオンがいる…」
# by mau46 | 2006-07-14 11:10 | スポーツ

ワールドカップ決勝 7月10日

○ フランスVSイタリア (1-1 PK3-5)

ジダンは退場して自らの最後を飾った。
おそらく世界中のメディアが彼のとった行動を批判しているであろうから、私は敢えて避ける。
ただ一言、これで誰の記憶にも残る選手になったと言うことだ。良いにしろ悪いにしろ。

さて、フランスのドメネク監督は「ジダンが退場してゲームが終わった」と言ったが、私の感想とは違う。

後半11分、フランスのビエラが退場した。
私はこの瞬間にフランスの優勝は限りなく遠いものになったと悟った。

ビエラはフランスの中盤の底を担う選手で、同じポジションのマケレレと抜群の働きをした。
いわゆるボランチというポジションである。

彼らの仕事はディフェンスの際の最初の砦である。相手の攻撃の第一波を食い止めるのである。
彼らが相手の攻撃の時間を少しでも遅らせる事ができれば、味方はその分自陣に戻ることができる。
ディフェンスの成功の確率は、彼らが相手を食い止めた時間に比例する。
今大会のこの二人は、おそらくボランチのポジションとしてもっとも機能していたのではないか。

さらにビエラは攻撃には一気に転じる事ができる。
その機敏な動きはベスト16の無敵艦隊スペインをことごとく撃沈させた。
そのビエラが筋肉系のケガで負傷交代した。

その時点でフランスの勝利はパスタの国へ向かった走り出したような気がする。

フランスはよく攻めたのだが、いまいちアクセントが無い。

さらにイタリアには私が今大会のMVPと思う、ファビオ=カンナバーロがいた。
彼は身長は175cm程度なのだが、ジャンプ力、フィジカル、そして直観力と群を抜いている。
身長だけで言えば日本の宮本と同じである。
ファビオがフランスの攻撃を完全に沈黙させた。

私は今大会でファビオの集中力が切れたのを一瞬でも見たことが無い。
どんなシチュエーションでもその繊細すぎる緊張の糸をずっと張っていた。
イタリアの優勝の原動力は彼ではないか。

あと敢えて挙げるのであれば、キーパーのブッフォンであろうか。
ブッフォンの集中力もすさまじいものがあった。

結局はPK戦でフランスは散るのだが、イタリアの優勝は妥当なものであろう。
それほど磐石なものであった。

おめでとう、遥か太陽と芸術の国。ワインもさぞ美味しいことだろう。
向こう2年間は君たちがチャンピオンだ。

しかし2年後のユーロでは、オレンジがその首をいただきに上がるのだ。
そのシナリオは出来上がっているのだよ・・・

ワールドカップ決勝 7月10日_e0090292_13362495.jpg

画像:イタリア優勝に喜ぶ、イタリア代表のカニベース
# by mau46 | 2006-07-10 13:35 | スポーツ

3位決定戦 7月8日

○ ドイツVSポルトガル (3-1)

この大会で目立ったものがある。それは、

「無回転シュート」

これは蹴られたボールが無回転な為に空気抵抗をまともに受け、不規則な運動を繰り返しながら飛んでいくものである。
球が途中で揺れたり、沈んだり、時には左右にぶれたりする。

日本も2点目の失点、世界一の“無回転シュート”キッカーであるジュニーニョ=フェルナンブカーノによって、川口が止められなかったのには、皆さんもご記憶にあるかも知れない。

ただしこのシュートは簡単に打てるものではない。
かなりのテクニックが必要である。

ではこのシュートによる最大の受難者は誰か。
それはゴールキーパーである。

この“無回転シュート”は不規則な運動を繰り返しながら飛んでくるわけで、もちろんキャッチは難しい。

今日の勝利の分岐となるべきポイント。
それはゴールキーパーのモティベーションだ。
その悪魔のシュートを止めるには、より高い集中力が必要となる。

ポルトガルのキーパーはリカルド。彼は数々のシュートを止めてきた。また、PK戦でも全てのシュートに反応した。それは並みのキーパーではできないことであった。準決勝のイタリア戦までは・・・

ドイツのキーパーはカーン。今大会のドイツはレーマンが守ってきた。カーンは'02ワールドカップでの最優秀キーパーである。ずっとカーンはドイツのゴールを守ってきた誇りがある。しかし彼は今シーズンの不振からドイツの正キーパーの座をレーマンに譲った。ところがカーンはそれに腐ることをせず、チームをレーマンを鼓舞し続けた。その姿は観衆の胸を熱く打った。カーンはこの3位決定戦のスターティングメンバーに選ばれた。レーマンの強いプッシュもあった。ドイツ国民全てがカーンの背中を押した。37歳。おそらく最後のワールドカップであろう。彼は国民全ての声援を背にしてピッチに立つ。

ドイツの先制点。若きホープ、シュバインシュタイガーが放ったシュートは無回転。
その気まぐれなシュートはリカルドの腕をすり抜けるようにゴールに突き刺さった。
一方、ポルトガルが手にしたフリーキックのチャンス。クリスティアーノ=ロナウドが放った“無回転シュート”はカーンが止めた。左右にふれるシュートを、カーンは逆を突かれながら止めた。それは魂のセーブだった。

ドイツは3位になった。

ドイツはポルトガルに対しカードを1枚だけ多く持っていたのだ。
しかも、オリバー=カーンというとっておきのカードを。
# by mau46 | 2006-07-09 20:02 | スポーツ


スポーツに関するコラムを書いてます。

by mau46